三手大陰線」は底打ち示唆の酒田五法

三手大陰線とは「下落局面で大陰線が重複するように3連続する」という状況を指します。

酒田五法の中で底打ちを示唆する買いシグナルと考えられており、実際の相場でも割と見るパターンではないでしょうか。

三手大陰線が底打ち示唆する考え方としては

  1. 大陰線が3連続で発生したことで、売り物が一気に放出された
  2. 終値こそ前日比マイナスだが、寄り値は前日比プラスのため徐々に買い気が出てきた
  3. 信用買いが整理された可能性あり

といったことが挙げられます。

要するに売りが出きったのでこれからは上がっていきそうですね、という考え方。

三手大陰線に続いて反発を思わせるような陽線が出たらエントリー時期です。

三手大陰線の注意点とは

三手大陰線は売りの出尽くしを考える酒田五法です。

そのため、判断する上で考えたいポイントとしては

  1. 底値圏で発生することが好ましい
  2. 中途半端に窓開けしてはいけない
  3. 下髭が優位になっているか

といったことが挙げられます。

底値圏で発生することが好ましい

売りが出きった、と判断するためには三手大陰線がどの価格帯で発生したのかが重要です。

もし三手大陰線が上昇相場から転換するようなタイミングで発生した場合、それは下落相場の初動かもしれません。

しかし、長らく下げてきた最後に三手大陰線が出れば「これで売りは打ち止めか?」と判断できることも多いです。

これは一種のセリングクライマックスの考え方と言えますね。

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同じローソク足パターンでも価格帯によって見方は変わるので、三手大陰線がどこで発生したかは意識した方が良いでしょう。

中途半端に窓開けしてはいけない

酒田五法には「三空叩き込み」という有名な買いシグナルパターンがあります。

これも三手大陰線のように売りの出尽くしを根拠としている酒田五法ですね。

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よく三手大陰線の説明で「窓開けしてはいけない」と言われるのですが、三空叩き込みを考えれば窓開けが必ずしもいけないわけではないでしょう。

しかし・・・

三手大陰線を形成する中で

  1. 1本目の直前にいきなり窓開け下落
  2. 所々で窓開け下落がある

といったケースでは

  1. なぜ窓開け下落してるのか
  2. まだまだ下げる余地があるのではないか

といった疑惑が出てしまいます。

「もうひとつくらい窓開けを待ってから底打ち判断をし始めたいよなぁ」と感じることも多く、一気に手を出しづらくなりますよね。

下髭が優位になっているか

実際の相場で三手大陰線が出た場合、全てが陰の丸坊主というわけではないでしょう。

上髭があったり下髭があったり、本体の大きさが違っていたり・・・その様子は色々です。

中でも三手大陰線で買い意欲が育ってきていると感じるのは・・・

なんとなくでも下髭優位だなと感じるケースですね。

少しずつ終値をまくりあげる様子が反発の兆しをイメージさせてくれますので、陽線が出るか注目することも多いです。



三手大陰線と三羽烏と放れ三手の違い

三手大陰線には似たような酒田五法がいくつかあり、そのうちのひとつに三羽烏があります。

三羽烏とは単に黒三兵と同じに考えられることもありますが、図のように

  1. 上昇局面のあと、直前の終値より低く始まって大陰線
  2. その後たすきをかけるように陰線が続く

という状況です。三手大陰線と違い、上昇局面の酒田五法ですので注意してください。

ただし・・・

この三連続陰線が下離れて始まっている場合は「放れ三手」という別の酒田五法です。

放れ三手から陽線が出現したら押し目買いポイントと言われていて、買いシグナルとなります。

三手大陰線の実例チャート

では三手大陰線の実例を見てみましょう。こちらをご覧下さい。

これは三か月以上の下落が続いたチャートです。移動平均線の傾きや陰線の数からも強い下げということがわかりますね。

図の左側では一度安値をつけて切り返しているようですが、中期線に跳ね返されてしまいました。

しかし、図の青枠部分で三手大陰線も発生したという状況です。

このときのポイントは

  1. 三か月という日柄で下落
  2. 直近安値では大きな出来高で下げ
  3. 直近安値を意識する位置で三手大陰線
  4. 三手大陰線でも出来高増加

ということでしょう。その後の値動きは・・・

三手大陰線の安値が底となり、緩やかに反発する流れとなりました。

2回に渡って売りを出し切ったことで底打ちに成功したと思われるケースで、それなりに頻度があるパターンです。

三手大陰線でエントリーするのではなく、下げ止まりを確認しながらエントリーしましょう。